
【保存版】松葉杖での階段の上り下り!安全な手順とハンズフリー型の活用法
2025年8月31日松葉杖を使っていると避けて通れないのが「階段」。転倒リスクが高く不安を感じる方も多いはずです。本記事では松葉杖で階段を上り下りする基本ルールから、両松葉杖・片松葉杖それぞれの使い方、さらに近年注目されるハンズフリー型松葉杖での考え方まで整理しました。実生活で役立つチェックリスト付きで解説します。

階段での松葉杖の基本ルール
松葉杖を使って階段を上り下りするのは、転倒のリスクが最も高い動作の一つです。安全を確保するために、以下の基本ルールを必ず守りましょう。
必ず手すりを利用する
階段を使うときは手すりがある側を選ぶことが第一条件です。手すりが片側にしかない場合は、健康な足の側に手すりが来るように位置取りをしましょう。両手で松葉杖を操作するよりも、片方の手は必ず手すりに添えて三点支持を保つと安定します。
一段ずつゆっくり進む
健常者のように連続してステップを踏むのは非常に危険です。
「1段ごとに停止 → 体勢確認 → 次の段へ」という流れを徹底してください。 急いでしまうと重心が前に傾き、バランスを崩す原因となります。
荷物は必ずリュックに
片手に荷物を持つと、手すりを使えず大変危険です。外出時はリュックやショルダーバッグを活用し、両手をフリーに保ちましょう。重い荷物は可能なら宅配サービスを利用し、階段移動のときには負担を減らすことも大切です。
靴と床の安全を確認
- 靴底は滑りにくいものを使用
- 靴紐やマジックテープは必ずしっかり結ぶ
- 雨の日や濡れた床では足を小さく運び、必ず手すりで補助
体調と集中力をチェック
疲れているときや集中力が切れているときは、階段での移動を避けるのが賢明です。体調が不安なときは、周囲の人にサポートをお願いするか、エレベーターを利用しましょう。
避けるべきNG行動
- スマホを操作しながらの階段移動
- 飲み物や傘を手に持ったままの昇降
- 急いで数段をまとめて上がろうとする
松葉杖利用者にとって階段は「最もリスクの高いシーン」です。できるだけ避け、やむを得ず利用する場合は手すり・一段ずつ・荷物フリーの3つを鉄則にしましょう。
階段の上り下り|両松葉杖と片松葉杖の違い

杖の種類 | 上り方 | 下り方 | ポイント |
---|---|---|---|
両松葉杖 | 健康な足を先に上げ、その後杖を持ち上げる | 杖を先に下ろし、健康な足をゆっくり下げる | 常に健康な足が体重を支えることを意識 |
片松葉杖 | 杖とケガ側を一緒に持ち上げ、健康な足で支える | 杖とケガ側を先に下ろし、健康な足を後から | 手すりと杖で「三点支持」を守ると安定 |
ハンズフリー松葉杖の場合の考え方(詳しく解説)

ハンズフリー松葉杖(膝支持タイプ)は、平地では両手が使えて非常に便利ですが、階段は転倒リスクが高く、基本的に非推奨です。ここでは「使わない前提」を軸にしつつ、やむを得ない場面での判断・準備・代替策を整理します。
原則と判断の優先順位
- 第1優先:階段を避ける(エレベーター、スロープ、エスカレーターは介助者同伴でも可否を厳密に確認)
- 第2優先:介助者のサポートを得る(手荷物運搬・ドア開閉・周囲確認などを任せる)
- 第3優先:装着を一時解除して、手すり+片松葉杖/手すり+両手支持など別方式に切り替える
- 最終手段:ハンズフリー状態のまま階段を移動(基本は回避。施設側の許可・安全確保がある場合のみ)
医療者から個別指示がある場合は、それに従ってください。自己判断での無理は禁物です。
使用可否のセルフチェック
項目 | OKの目安 | NGのサイン |
---|---|---|
手すりの有無 | 片側でも連続して掴める | 手すりが途切れる/左右の切替が頻繁 |
段の状態 | 乾いていて均一、十分な幅 | 濡れ・凍結・狭い・人混み |
体調・可動域 | 膝90°保持・痛み少・集中できる | 痛み増悪・痺れ・疲労・めまい |
装着の安定 | ベルトが均一に締まりズレない | 食い込み・ズレ・ガタつき |
荷物 | リュック等で完全ハンズフリー | 手持ち荷物あり・傘/飲み物を保持 |
ベターな代替策
- ルート変更:エレベーター・スロープの位置を事前確認。屋外なら遠回りでも平坦優先。
- 装着解除→別方式に切替:段差区間のみ装着を外し、手すり+片松葉杖や介助で昇降。再装着は明るく安全な場所で。
- 介助依頼:階段の先頭に誘導者、後方に保護者。声かけ(「止まります」「進みます」)でペース統一。
どうしても階段を使う必要がある場合の安全手順
※以下は例示であり、施設や医療者の許可が前提です。無理だと感じたら即中止してください。
- 装着を再点検:太もも・すね・膝の各ベルトを「指1本入る程度」で均一に。膝はパッド中央へ。
- 手すり側に寄る:上りは健康な足→装置、下りは装置→健康な足の順。各段で停止し体勢確認。
- 歩幅を最小に:視線は2〜3段先に置き、肩はすくめない。呼吸を止めない。
- 中断の合図:違和感・痛み・人混み流入→即座に停止し退避。再挑戦はしない。
原則は「使わない」。使うなら「一段ごと停止・手すり常用・合図で中断」を徹底。
服装・持ち物・環境の整え方
- 靴:滑りにくいソール。厚底・サンダル・ミュールは避ける。
- 服装:裾が長いパンツは裾留め。コートは前を閉じ、ぶら下がり小物を無くす。
- 荷物:リュック/クロスボディ一択。傘は折り畳み+ケースに収納。
- 時間帯:通勤・通学ラッシュを避ける。人混みは待ってから進入。
- 照明:暗所ではライト点灯、屋外は足元が見える明るさを確保。
代替手段の比較
選択肢 | 安全性 | 手間 | 向く場面 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
エレベーター | 高 | 低 | 屋内・商業施設 | 混雑時は時間に余裕を |
装着解除→手すり+片松葉杖 | 中〜高 | 中 | 短い階段・人通り少 | 再装着の場所と時間を確保 |
介助者同行 | 中〜高 | 中 | 荷物が多い・長い階段 | 合図・役割分担を決める |
ハンズフリーのまま昇降 | 低(原則回避) | 低 | 不可避な短い階段 | 一段ごと停止・即中断の判断 |
ハンズフリー松葉杖:階段前の判断フロー 階段に直面 迂回路(EV/スロープ) が使える? 使う → 迂回 装着解除→別方式へ 介助者に依頼 最終:一段ごと停止で昇降 基本は「避ける→切替→介助」。ハンズフリーのままは最終手段。
トラブルを感じたら即中断
- 膝・太ももに痛み/痺れ → その場で停止し、ベルトを再調整
- 段上で人流が増えた → 退避スペースへ移動し、空いてから再開
- 雨・強風・薄暗さ → 予定を変更し、安全なルートに切替
安全は「行けるか」ではなく「安全に行けるか」で判断。迷ったら必ず引き返してください。

安全チェックリスト
- 手すりを必ず使える環境か
- 靴底は滑りにくいか
- 荷物をリュックにまとめているか
- 体調や疲労度は問題ないか
このチェックをクリアできない場合は、階段を使わず他の移動手段を選ぶ方が安全です。
まとめ

松葉杖での階段移動は「上り=健康な足から」「下り=杖から」という基本ルールが大切です。両松葉杖でも片松葉杖でも、手すりを利用し三点支持を守れば安定性が増します。
ハンズフリー型松葉杖は平地では便利ですが、階段は避けるのが無難。どうしても使う場合は安全チェックを徹底してください。日常生活を守るためにも、焦らず一歩ずつ確実に動作することが何より重要です。
FAQ
Q. 松葉杖で階段を使うのは危険ですか?
A. 手すりを利用し正しい順序を守れば可能ですが、転倒リスクが高いため避けられるなら避けましょう。
Q. ハンズフリー松葉杖で階段は使えますか?
A. 基本的には非推奨です。安全性を優先し、エレベーターやスロープを利用してください。
Q. 外出時に荷物はどう持つ?
A. リュックやクロスボディバッグにまとめ、両手を自由にしておくと安心です。
