
正しい使い方で効果倍増!ハンズフリー松葉杖アイウォークフリーの装着方法
2025年10月6日はじめに:従来の松葉杖から解放される新しい歩行補助

理学療法士として多くの患者様の歩行リハビリに携わってきた経験から申し上げますと、従来の松葉杖には多くの課題がありました。そんな中で登場したハンズフリー松葉杖「アイウォークフリー」は、これらの問題を根本的に解決する画期的な歩行補助具として、医療現場でも注目を集めています。
しかし、どんなに優れた器具であっても、正しい装着方法と使い方を理解していなければ、その効果を最大限に発揮することはできません。むしろ、誤った使い方は転倒や怪我のリスクを高める可能性があります。
1.アイウォークフリーの基本構造を理解する

本記事では、アイウォークフリーの正しい装着方法から実際の歩行練習まで、安全で効果的な使用方法を解説いたします。
主要パーツ
• ひざのせパッド:膝を支える凹型のパッド部分
• 太ももサポート:太ももを支える調整可能なサポート部分
• ハンドル:バランスを取るためのグリップ部分
• 下部パイプ:高さ調整が可能な支柱部分
• 足先部分:左右専用設計の接地面
• 3本のストラップ:膝と太ももを固定するベルト
安全設計の為ポイント
アイウォークフリーは、使用者の安全を第一に考えた設計となっています。特に足先部分の左右専用設計や、複数のロック機構により、安定性と安全性を確保しています。
装着前の重要な準備事項
安全確認チェックリスト
装着前に必ず以下の点を確認してください:
1. 医師の許可:必ず担当医師の使用許可を得てください
2. 使用環境:初回装着時は手すりのある安全な場所で行う
3. サポート体制:可能であれば家族や介護者の付き添い
4. 服装:動きやすく、ストラップが引っかからない服装
5. 靴:滑りにくい適切な靴の着用
必要な道具
特別な道具は不要ですが、以下があると便利です:
• 椅子(装着時の安定確保)
• 手すりやサポートできる固定物
• 取扱説明書(確認用)
2.ステップバイステップ装着方法
ステップ1:基本パーツの準備
A) 3つのストラップを取り外します
B) 太ももサポート部分の調整準備
太ももサポート部分が自由に動くように、つまみねじを緩めます。この時、完全に外さず、動く程度に緩めることがポイントです。
ステップ2:左右の確認と足先の向き調整
重要:足の向きの確認
アイウォークフリーの足先部分には、right(右)とleft(左)の刻印があります。使用する足に応じて正しい向きに設定することが、安全使用の最重要ポイントです。
調整方法
1. 下部パイプのプッシュボタンを押す
2. 締め付けボルト・ナットを緩める
3. 足先を使用する足に合わせて回転させる
4. 正しい位置で固定する
理学療法士の視点から申し上げますと、この段階での設定ミスが最も多くの事故原因となります。必ず刻印を確認し、疑問があれば専門家に相談してください。
ステップ3:高さの基本調整
調整の基本原則
垂直に立て、膝から約3~4cm下の位置にひざのせパッドの凹んだ部分がくるよう調整します。
安全な調整手順
1. 初回は安全のため、低めの位置に設定
2. プッシュボタンが完全に差し込まれていることを確認
3. ナットとボルトをしっかりと締める
4. ハンドルをつかみ、ひざのせパッドに慎重に膝をつく
5. この時点では体重をかけないことが重要
手すりなどにつかまりながら、足を肩幅に開き、怪我をしていない側の膝が少し曲がる程度の長さになっているか確認します。
ステップ4:ハンドルの高さ調整
太もも部分のプッシュボタンを押してハンドルを上下し、長さを調節します。理学療法士としてお勧めするのは、できるだけ高い位置に合わせることです。これにより、より自然な歩行姿勢を保つことができます。
ステップ5:太もも部分の詳細調整
A) 接地面の調整
下部パイプ足先の出っ張りが左右共に地面に接触するところまで、内側に傾けます。この調整により、安定した接地が可能になります。
B) 太ももの幅調整
その位置で太ももの幅を合わせます。太ももの内側のサポートから回転させ、歯をかみ合わせてください。
C) 最終固定
外側も合わせ、さらに左右交互に締め直しながらしっかりと固定してください。この段階での固定が不十分だと、使用中の安全性に影響します。
ステップ6:ストラップの準備
ストラップの構造理解
ストラップは2つのセクションで構成されています:
• 黒いバックル:基本的な長さ調節用
• グレーのバックル:最終的な張り調整用(外す時はバックルを持ち上げます)
調整準備
バックルからストラップを引き抜きながら端を持ち上げて、ストラップを引き伸ばします。3つすべてのストラップに対してこの作業を行ってください。
ステップ7:ストラップの取り付け
取り付けの向き
アイウォークフリーにストラップを3本取り付けます。ブラックのロックバックルが松葉杖の内側、グレーのバックルが外側にくるように取り付けてください。
特別なストラップの配置
3本のストラップのうち、1本だけマジックテープの先端が白くなっているものがある場合、それをひざのせパッドの前部分に取り付けてください。
ステップ8:ストラップの装着
A) 基本装着
ハンドルを持ちながら、クラッチに膝をのせ、膝裏から取りつけます。ひざのせパッドにグレーのTロックバックルを装着してください。
B) 前方ストラップの調整
ひざのせパッドの前方に膝を置き、ぴったり締まるまで黒の調節バックル側のストラップを引っ張ります。完全に締め付ける必要はありませんが、ずれない程度に固定してください。
C) 最終調整
グレーの調節バックルのストラップを引き締めます。引っ張ったストラップは、黒とグレーの調節バックルの間のマジックテープに貼り付けておきます。隙間がないようしっかりと締めて装着してください。
D) 残りのストラップ
その他の2つのストラップも同様の手順で取り付けます。
ステップ9:太ももサポーターの最終調整
ももにあたるサポーターを上下にスライドさせ、最も快適な位置に調整します。
ステップ10:ストラップパッドの位置調整
3つのストラップのパッドが、それぞれの足の裏側の中央部にくるようにスライドします。パッドのロゴ部分の下には余った調整ストラップを収納できますので、見た目もすっきりします。
ステップ11:取り外し方法
安全な取り外し手順
A) グレーのロックバックルを持ち上げストラップを緩める
B) グレーのTロックバックルを本体から外す
C) 他の2本のストラップも同様に取り外す
3.実際の歩行練習方法
基本姿勢の確立(ステップ1)
まずは基本姿勢をとります。肩幅に足を広げ真っ直ぐ立ちます。
バランス練習(ステップ2)
アイウォークを装着して立ち、足を肩幅に開きます。この基本姿勢が、安全な歩行の出発点となります。
理学療法士として最も重要視しているのが、このバランス練習です。以下の練習を繰り返し行い、ふらつかないように十分に練習してください:
a. 左右バランス練習
手のひらを身体の側面に添え、まっすぐに腕を下ろして立ちます。ひざのあたりに手が届くように身体を傾けます。もとの位置に戻り、反対側も繰り返します。両側どちらに荷重を乗せてもバランスが取れるよう交互に繰り返し行ってください。
b. 前後バランス練習
腕をまっすぐおろし、太ももの前側に手のひらを沿わせます。ひざに触れるあたりまで前方に傾き、起き上がります。何度か繰り返します。
c. 全方向バランス練習
すべての方向に少しずつ傾いてみましょう。
d. 歩行移行の判断
これらの練習を楽に行えるまで続けた後、実際の歩行へと移っていきましょう。
実際の歩行練習(ステップ3)

a. 歩行開始姿勢
ステップ1の姿勢になり、ハンドルに手を置きます。怪我のない足から最初の一歩を踏み出し、その後にアイウォークの足が続きます。
b. 正しい姿勢の維持
姿勢を正し(下を向かず)前を見て、ゆっくりハンドルを操作します。
c. 自然な歩行の実現
ハンドルを前方に傾けたことで、初めの一歩が自然に踏み出しやすくなります。はじめは小さな歩幅から始めてください。
d. 継続的な歩行
そのまま止まらず、アイウォーク側の足を前に振り出します。
微調整と快適性の向上(ステップ4)
練習を続けて基本的な動きが身についてきたら、より歩きやすい位置にひざのせパッドを調整しましょう。適切な高さにすることで、歩行がより効率的になり、疲労が軽減します。
ストラップの再調整(ステップ5)
使い始めのころは、ストラップが数分後に緩んでいることがあります。グレーバックルの張り調節で十分に締めることができない場合は、黒い調節バックルにて再調整を行ってください。
階段昇降の安全な方法(ステップ6)
重要な前提条件
階段の使用は、十分な訓練で慣れてきた方のみが対象です。使い慣れないあいだは危険ですので、階段は使わないでください。
基本原則
階段を使用する際には、必ず手すりにつかまってください。これは絶対に守るべき安全ルールです。
上るとき
• 必ずアイウォーク側の手すりにつかまります
• 怪我のない足から上ります
• 必ず両足で一つずつ段を上ってください
下りるとき
• 必ずアイウォーク側の手すりにつかまります
• 怪我のない足から下ります
• 必ず両足で一つずつ段を下りてください
• 階段によっては身体をひねったほうが下りやすい場合があります
よくある装着ミスとその対処法
1. 足先の向き間違い
症状:歩行時の不安定感、バランスの取りにくさ
原因:left/rightの刻印確認不足
対処法:必ず刻印を確認し、正しい向きに再調整
2. ストラップの締め付け不足
症状:使用中のずれ、膝の固定不足
原因:グレーバックルの調整不十分
対処法:黒いバックルから再調整を行い、適切な張力に設定
3. 高さ調整の不適切
症状:歩行時の疲労感増大、姿勢の悪化
原因:膝の位置が適切でない
対処法:膝から3-4cm下の位置に再調整
4. 太ももサポートの位置ずれ
症状:太ももへの圧迫感、長時間使用の困難
原因:サポート位置の不適切
対処法:使用中に違和感を感じたら即座に調整
理学療法士からの専門的アドバイス

使用期間中の注意点
1. 定期的な点検:ネジの緩みやパーツの摩耗を定期的にチェック
2. 清拭・消毒:衛生管理のため、定期的な清拭を実施
3. 体重変化への対応:体重の増減があった場合は再調整が必要
効果的な使用のコツ
1. 段階的な使用時間延長:最初は短時間から始め、徐々に延長
2. 筋力維持の重要性:使用していない筋肉の維持トレーニングも並行実施
3. 専門家との連携:定期的な医師や理学療法士との相談
併用すべき取り組み
ハンズフリー松葉杖の使用と並行して、以下の取り組みも重要です:
• 患部以外の筋力維持トレーニング
• バランス能力の向上エクササイズ
• 段階的な荷重練習(医師の指示に従って)
まとめ:正しい使用で得られる生活の質向上
アイウォークフリーは、正しい装着方法と使用方法を守ることで、従来の松葉杖では実現できなかった快適性と自由度を提供します。
主な利点の再確認
• 両手の自由な使用
• 脇への負担軽減
• より自然な歩行パターンの実現
• 日常生活動作の改善
しかし、これらの利点を最大限に活用するためには、本記事で解説した正しい装着方法と使用手順を遵守することが不可欠です。
理学療法士として多くの患者様を見てきた経験から申し上げますと、適切な使用方法を身につけた方々は、予想以上に早期に日常生活に復帰し、生活の質を向上させています。
最後に重要なお願い
アイウォークフリーは優れた歩行補助具ですが、使用に際しては必ず医師の許可と指導を受けてください。また、使用中に痛みや不具合を感じた場合は、直ちに使用を中止し、専門家にご相談ください。
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執筆者紹介
もっこすパパ |理学療法士・ケアマネジャー・公認心理師
理学療法士として15年以上、急性期から回復期、慢性期、在宅医療まで幅広いフィールドで患者支援に従事。医療・福祉の垣根を超えた支援を目指し、専門的な情報をわかりやすく発信している。